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『103歳、名言だらけ。』石井哲代さんの本から学ぶ、一人暮らしと生きる力【オハナな図書室の本棚から】

『103歳、名言だらけ。』石井哲代さんの名言と一人暮らしの哲学に学ぶ。訪問看護師の視点から、老いと暮らしのヒントをやさしく紹介します。
※本記事は、以前ご紹介した内容をリライト・再構成したものです。

サイン本が当選し、あらためて読み返したことで心に残った言葉がいくつもありました。人生の先輩から、暮らしと心の整え方を学びなおす一冊です。

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名言にあふれる日常の断片

“推しごと”のひとつとして、人生の先輩方をリスペクトしている私ですが、今回はとびきり嬉しい出来事がありました。なんと『103歳、名言だらけ。なーんちゃって』のサイン本が当選!これはもう、何度でも推したくなります。

現在、映画『104歳、哲代さんの一人暮らし』も全国のミニシアターで上映中。札幌・苫小牧・函館などでは観られるようですが、旭川には残念ながらミニシアターがなく…。だからこそ、まずは書籍で哲代さんの世界をたっぷり予習するのがおすすめです。

📖 書名:103歳、名言だらけ。
🖋 著者:石井哲代・中国新聞社
🏢 出版社:文藝春秋
📅 発行年:2024年3月30日
内容紹介:ご長寿の哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること、哲代さんが自分の心に言い聞かせている言葉たちを綴っています。

💛この本は「オハナな図書室」の蔵書として、いつでも貸し出します。お気軽にお声かけくださいね。

哲代さんの“錆びない鍬”という生き方

石井哲代さん(103歳)は、56歳まで小学校で教鞭をとっていた元先生。今も畑を耕し、地域と関わりながら、しなやかにひとり暮らしを続けています。

その座右の銘が錆びない鍬でありたい」。

30年以上、毎晩欠かさずつける日記には、出来事だけでなく内省や“自分を励ます言葉”が綴られています。本書はその日記形式で、日々の暮らしや哲代さんの思いが綴られており、まるでそっと心に語りかけられているようです。

「苦労豆」を煮るユーモア

「正月には早いけど黒豆を炊きました。黒豆は“苦労豆”。苦労しますようにって願って食べるのよ。苦労のない人生なんて、つまらんです。なんちゃって。」

苦労を忌避するのではなく、「味わい」として楽しむ哲代さんの言葉に、思わず笑いながら深くうなずいてしまいます。「コスパ」や「タイパ」が重視される現代にあって、“効率”ではたどりつけない人生の豊かさを、ユーモアとともに教えてくれるのです。

自分の弱さと向き合う強さ

前作『102歳、一人暮らし』から続くこの日記シリーズでは、心のゆらぎや体調の変化についても正直に綴られています。入退院を経験し、「もうひとり暮らしは難しいかも…」と感じた日々。
「自分の好きな暮らしに執着すると、周りに迷惑をかけるのでは」と悩んだこともあったそうです。でも、姪御さんの「サポートするよ」のひと言で、また家に帰りたいと思えるようになった哲代さん。
不安に揺れながらも、前を向いて歩き出す力──それもまた、彼女の名言のひとつかもしれません

オハナなおうちから見た“哲代さんのすごさ”

錆びない鍬としての自分

訪問看護という仕事を通じて、日々、たくさんのご高齢の方とお会いしています。
そのなかで、哲代さんのように“自らの意志で”デイサービスに通い、そこでの時間や関わりを前向きに楽しんでおられる方には、なかなか出会えません。

現実には、「家族にすすめられたから」「ボケ防止に仕方なく」という理由で通所されている方も多く、気持ちの準備が整わないまま時間を過ごしておられる姿にも、よく出会います。

でも、哲代さんは違いました。
自分の暮らしのリズムを大切にしながら、人とのつながりを自然に受けとめ、場にやわらかな空気を運んでこられる
誰かのために無理をするのではなく、「役に立てたら嬉しいな」と、静かな願いとともに、自分にできることを日々、丁寧に続けておられるのです。

「錆びない鍬でありたい」──その言葉には、暮らしへのまなざしと、自分らしく在りつづけようとする意志がにじんでいます。
耕し続けるのは、誰かの畑ではなく、自分の暮らし。
人に褒められなくても、評価されなくても、ただ、自分の鍬で、自分の人生の土をやさしく耕していく。

そんな姿に、私たちケアの現場にいる者は、はっとします。
それはきっと、介護の原点を思い出させるだけでなく、人としてどう在るか──そんな問いをそっと差し出してくれる教師のような存在なのです。

この本を、こんな人に届けたい

石井哲代さんの本には、年齢を重ねたからこそ見えてくる「日常の面白さ」や「暮らしを楽しむ知恵」が、ユーモアとともに詰まっています。
こんな方にこそ、そっと手渡したい一冊です。

  • 年をとることに、少し不安を感じている方
  • 実家の親の暮らし方が気になっている方
  • 介護やケアに関わっているご家族や専門職の方
  • 「ひとり暮らし=さびしい」と感じている方
  • 老いに前向きな視点がほしいと思っている方
  • 心がちょっと疲れて、あたたかい言葉にふれたい方
  • 名言が好き、日記のようなエッセイが好きな方

読んでいるうちに、哲代さんの暮らしがなんだか身近に感じられてきて、
読み終える頃には、そばで微笑まれているようなあたたかさが残ります。

まとめ:哲代さんの名言を、あなたの心にも

落ちている石ころを“面白い石”にしてしまうような視点。
後ろ向きに歩くことで坂道を安全に下る、生活に根ざした知恵。
そして、苦労さえも“味わい”として笑って受けとめる心のしなやかさ。

年齢を重ねることで誰しも向き合う、身体の変化や暮らしの壁。
それらを、悲観でも無理なポジティブでもなく、ユーモアでふわりと包みながら受けとめていく哲代さんの暮らしぶりは、実はとても特別なことのように思えます。
その姿はとても愛らしくて、見守る人の心までやわらかくしてくれます。

あなたなら、どんな言葉を座右の銘にしますか?
どんな“暮らしの名言”が、今のあなたを支えてくれそうですか?

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📚蔵書になりました。貸出し・ご案内はこちら

オハナな図書室では、
人生にそっと寄り添ってくれるような本を、管理人の“イチオシ”としてご紹介しています。
『103歳、名言だらけ。』も、そのひとつ。
読みたい方には、いつでもお貸ししますので、お気軽にお声がけくださいね。

そして──
この「本棚」は、ひとりではなく、みなさんと一緒に育てていけたらと思っています。

看護や介護に限らず、
「この本に助けられたな」
「やさしい気持ちになれたな」
そんな1冊があれば、ぜひ教えてください。

📮 ご紹介いただける方は:

  • Instagramで【#オハナな図書室】のタグをつけて投稿
  • または、ブログのお問い合わせフォームからもお待ちしています

あなたの心に残った言葉が、
きっと、どこかの誰かを照らしてくれるはずです。

また会える日を心待ちにしています。

バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。リビングルームにはコメント欄がありますので、何かリアクションしていただけたら励みになります。お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。

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