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「認知症になりたくない」と思っているあなたへ──認知症の本人が教えてくれた“今を生きる”ということ

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支援者として、どう“寄り添う”かが変わる1冊

「周りに迷惑をかけたくない」「認知症だけにはなりたくない」
そう思ったこと、ありませんか?

でも、実際に認知症と診断されたとき、その人はどんな思いで日々を生きているのでしょうか?

本記事では、認知症の“ご本人”が自らの言葉で綴った一冊を通して、
支援者としての視点を見つめ直すヒントをお届けします。

📖 書名:認知症の私が、今を楽しく生きる理由
🖋 著者:丹野智文
🏢 出版社:中央法規出版
📅 発行年:2025年6月20日
内容紹介:
若年性認知症の診断を受けた著者が、自らの体験と想いを綴ったエッセイ。
“迷ってもいい”、“失敗してもいい”という言葉が、私たちの「支援」の価値観を問い直します。

認知症の本人が教えてくれた4つのこと

  • 「道に迷う」に、慣れていい
     → 支援は「迷わせないこと」ではなく「迷ってもいい安心感をつくること」。
  • 「すべてを忘れるわけじゃない」
     → 残っている記憶があるからこそ、不安や痛みがある。
     →「できること探し」が日々の希望に。
  • 「使わなくなった」のではなく、「使いたい気持ちが消えた」
     → 携帯電話の話から、本人の“心が動くきっかけ”の大切さを再認識。
  • 本人は支援の対象ではなく、“人生の主体”
     → 「保護」「援助」という構えが、人権の制限になっていないか?
     → 見守ること・信じることの覚悟が支援の本質。

📖 心に残った言葉:「失敗する権利」こそ、人生を生きる権利

認知症のある方と接する人はもちろん、誰かを支える全ての人に読んでほしい。そんな一冊です。

🏠オハナなおうちの視点から

“支援する”ではなく、“ともに暮らす”という関わりへ

この本を通じて、自分の中の「支援とは何か?」という問いが揺らぎました。

できないことを補う、失敗を防ぐ──
それは優しさのようでいて、もしかしたら「信じていない」という姿勢にもなりうるのです。

手を差し伸べるだけではなく、「待つ」「信じる」「尊重する」こと。
それは誰かにだけでなく、自分自身にも必要な態度なのかもしれません。

私たち「オハナなおうち」では、認知症のある方を
“支援の対象”としてだけではなく、その人のまま、ともに暮らす仲間として捉えています。

この本に登場するご本人の言葉には、
私たちが日々の現場で何気なくやってしまっている「優しさの押しつけ」や、
「できないだろう」という決めつけを、そっと見つめ直すきっかけが詰まっていました。

たとえば──

携帯電話を使わなくなったのではなく、「使いたい気持ち」がなくなっていた。

この一言には、生活の中に“心が動くきっかけ”をつくることの大切さが込められています。
私たちは「使えるかどうか」ばかりに目を向けがちですが、
「何を楽しみにしていたか」「何を誰と分かち合いたかったか」に目を向けると、
支援の関わりが“暮らしの伴走”へと変わっていくのです。

🧭 “その人らしさ”を支えるということ

「寄り添う」という言葉は美しく響きますが、
その中にはときに決めつけ」や「先回り」が潜んでいることがあります。

オハナなお家で大切にしているのは、
✔️ 失敗してもいい環境
✔️ ゆっくり待つこと
✔️ できる力を信じて関わること

支えるというよりも、ともに“今を生きる”という姿勢こそが、
この本が伝えてくれた「認知症のある方の主体性」に通じていると感じました。

💡 現場でできる小さな工夫

  • 「どうすればできるか?」を一緒に考える
  • 好きだった物・人・景色に触れるきっかけを意識する
  • 決めつけない言葉を使う(例:「できない」→「今日はどんな感じかな?」)

🍀 まとめ:あなたのままで大丈夫、と言える社会へ

この本が教えてくれたのは、
「認知症のある人の力を信じる」という勇気かもしれません。

私たち支援者や地域のひとりひとりが、
「できないこと」ではなく「できること」に目を向け、
暮らしの中で寄り添う関係性をつくっていけたら──

それが、オハナなお家が目指す「ともに生きる」社会の姿です。

📚この本を、こんな方に届けたい

認知症のご家族と向き合っている方へ
 → ご本人の“内側の声”を知るきっかけに。

支援職・介護に関わる方へ
 → 「守る」から「ともに生きる」視点へ。

将来が不安なあなたへ
 → 「病気になっても豊かに生きられる」と思える1冊。

誰かを思いやるすべての人へ
 → 寄り添うことの意味をやさしく問いかけてくれます。

最後に──“あなた”の心に、ひとつだけ届けたいこと🎁

この本を読んで感じたのは、
誰もが「その人らしく生きる」力を、きっと持っているということ。

たとえ忘れることがあっても、
たとえ助けが必要になっても、
“その人らしさ”は、静かにそこに息づいているのだと。

私たちは、できることを奪うのではなく、
「できることを、信じる力」を持ちたい。

このページを閉じたあと、
あなたの心に残るのは、
きっと“寄り添うことのやさしさ”──そう願っています。

📚オハナなおうちから、本のご紹介とお願い

オハナなおうちでは、
人生に寄り添ってくれるような一冊を、
管理人の“イチオシ”としてご紹介しています。
今日も、小さなあたたかさが、あなたのもとに届きますように。

🌼あなたの「オハナな本」、教えてください

オハナなおうちは、ひとりでがんばらなくていい場所。
そんな“おうちの本棚”を、みなさんと一緒に育てていけたらうれしいです。
看護・介護の本に限らず、心がほっとした本や、優しさを思い出せたような一冊があれば、ぜひ教えてくださいね。

📮 投稿方法:

  • Instagramで #オハナな図書室 をつけて投稿
  • または、ブログのお問い合わせフォームからも受付中です

あなたの「心に残った本」が、きっと誰かの支えになります。


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#寄り添うとは
#その人らしさを支える

また会える日を心待ちにしています。

バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。リビングルームにはコメント欄がありますので、何かリアクションしていただけたら励みになります。お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。

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