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おうちナースな7DAYS|オハナな管理人日誌weekly【2025.4.9〜4.15】

Instagramで投稿中のオハナなおうちの『オハナな管理日誌』のweeklyバージョンです。ダイジェストというより、リライトや加筆をしていることが多いかもです笑。管理人のバイアスが100%かかっておりますが、在宅看護の枝葉としての読みものとして楽しんで頂けたら幸いです。

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ことばにしてみた訪問看護の看取り⑤

管理人日誌professional Ver. 忙しい妹たちへの解説
【ことばにしてみた訪問看護の看取り】鈴木沙織著 医学書院

その時が近づいてくるまでに〜じっくりと対話を積む③

🏠その先を見据えて関わる 《オハナな管理人日誌 2025.4.10》

以前「緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study(厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)」による、『これからの過ごし方について』という パンフレットを取り上げたことがありました。一般の方がわかりやすく、まとめられているものなのですが、『その先』の状況は教科書通りにとはいかないものです。今まで経験してきた私たちであっても、意外と〇〇ってことがよくあります。そのくらい予測がつけられないものです。だからと言って可能性のあることを全てお話ししたとて逆に不安が強くなるでしょうし、頭の中でイメージもつかない話になってしまうと話した側の自己満足になってしまいます。最近はネットでの情報も多く、『おしっこが少なくなると死期が近いとありましたが』とか、『なかなおり現象やお迎え現象が起きるのが怖くて』と、間違った情報ではないですが、そういうサインが出てきたらと変化に神経をすり減らしてしまうこともありました。

初めての経験ですから、肩に力も入りますし、身体的にも精神的にも、ご本人だけではなくご家族もシンドイ状況であるのは間違いありません。末期がんの経過としての最後の1ヶ月は、崖から落ちるように日々悪くなることが多いです。苦痛のコントロールを常に図りながら、体力の限界からトイレに行けずにベッド上で寝たきりとなり、徐々に食事も取れなくなり、眠る時間が長くなってきます。弱っていく姿を目の当たりにすることも大変辛いことです。

ここで私が大切にしたい考えのひとつが、前に出てきたニーバーの祈りです。

ニーバーの祈り(The Serenity Prayer)は、
アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー(1892–1971)が作ったとされる祈りの言葉で
神よ、  変えられないものを受け入れる心の静けさと、 
変えられるものを変える勇気と、 
その両者を見分ける知恵を我に与え給え。

全人的な苦痛に対して緩和的なアプローチに全力を尽くし、避けられないこと、変えられないことだからこその捉え方があるという信念があります。あなたがいて、私がいる。その出会いから、大切な意味を含んでいます。辛いからこそ、限られているからこそ、輝きだすものがあるのです。あなたには寝たきりになっても、眠る時間が多くなっても、その宝物をひとつひとつを一緒に分かち会えることで、私たちに幸せを与えてくださるという、お役目があるのです。

もうひとつその先を見据えることのひとつに、残された後のご家族のグリーフにつながる支援を感じながらケアを進めます。ご家族の精神的な状況にもよりますが、限られた時間の過ごし方をなるべく後悔が少なく、願わくば家で看取ることを後悔して欲しくないと願います。タイミングを見ながら、お話ができるうちに、特に大切なお話は先延ばしにしないようにとご本人とご家族の双方にお伝えします。

🏠 安心を置いてくる《オハナな管理人日誌 2025.4.12》

安心は読んで字のごとく、心が安らかな状態ということです。看取りの前にしたご本人やご家族が心安らかに過ごしていただくことが、すべての支援の目的です。医療的な処置にしかり、身の回りのお世話にしかり、コミュニケーションにしかり、ケアの根底に流れているものです。そして安心感の一番大きなファクターって…信頼関係でしょうね。自分に置き換えてもそうですよね、同じことされても許せる人やそうでない人がいます。認知バイアスが影響されるのは、脳の生理学的にも避けられません。そんなもんなので。電話でのやりとりでだけと実際に対面したときの相手の印象は全然違う経験をしたこともあるでしょう。マスクを外すと想像した顔と違う認識に感じることありますよね。人間の脳は自分勝手に過去の経験や直感を活用して効率的に認知し判断しようとするものなのです。

ニコニコ笑顔であいさつして(両手をあげて丸腰ですよ〜何もあなたを傷つけるつもりはありませんよ〜と心の中でつぶやきながら)、「それでよろしければ何かお役にたてないかとお伺いしました、どのような具合ですか?お困りなことはありますか?」お話をメモしながら、時には相槌や辛いですねとしっかりと受け止めていますよとサインを送り、じっくりと誠実に謙虚にお聞きする。(実にそれが難しく内省しながら書いてます汗)

安心を置いてくるためのノウハウやアプローチはありそうですが、安心とはあくまでも受けて側の感受性に左右されるもの。当然に私たちが相手の気持ちをどうこうすることができないことを知っていることも重要です。

安心させることはできませんが、安心を支えるための支援は専門職であろうとなかろうと培っていけるものです。苦しみをわかり合いたいという気持ちがすでにそうなのですから。

🏠 サインを見逃さない《オハナな管理人日誌 2025.4.13》


神様ならこの物語を全てご存じのことでしょう。人間なら皆未来を確実に予測できないことになっています。最期の過ごし方の経過は個人差が大きいとはいえ、病状の進行で10日も寝たきりで傾眠している方がいきなり覚醒してトイレに歩けるようにはならないことは明白な事実です。それはどうして寝たきりになったのかということを科学的根拠をもとに推察できるからです。今までの方々が私たちに身を持って教えてくださった経験から、多くの方が過ごしてきた道は、ぼんやりとしていますがわかります。その道がどのくらい続いているのか、その道をどんなふうに歩いていけるのかは、これから実際に歩いてみないとわかりません。しかし私たちは、道の終わりまで一緒に歩いていくことをお約束し、ぼんやりとした道であっても傍らで歩調を合わせて一緒に進みます。その旅でどんな苦悩があっても全力でサポートし、避けられないことであればそれをやり過ごしながら、物語の旅を終えられるようにお手伝いをします。時には専門職との連携やご家族の支えが生きる力になるように整えることもあります。

あなたが歩いていくさまをしっかりと肌身で感じ、道を照らす『灯り』になれることが私たちの責務でしょう。

🏠 PS:パフォーマンスステイタス《オハナな管理人日誌 2025.4.14》

自然な経過なのですが徐々に衰弱が進むと、足に力が入らないとか血圧が下がって具合が悪くなったと、トイレから動けなくなったとご連絡をいただくことが時々あります。車椅子で移動されたとしても、ご自分で自分の身体を支えることが難しい状況もあります。私もそうですが、皆さんもきっとそうでしょう、なるべくトイレに行けるうちは、トイレで用を済ませたいと思いますよね。その『なるべく』というのが、実は難しいものです。怪我や事故につながらない配慮をしつつ、痛みや辛さを感じながらも行きたいというお気持ちを支え、体の変化をご本人やご家族が受け入れる時を見守ります。いつその時がきてもいいように、たとえ夜中であっても大丈夫なように、ベッドの上で過ごすことになった時のための準備を提案し、その方の病状や苦痛の出方、ご家族の介護力などを鑑みて、オムツや膀胱留置カテーテル(主治医と相談してですが)を備えます。

患者さんが日常生活をどれくらい自立して送れるかを評価する指標としてよく使われるのが、パフォーマンスステイタス(Performance Status、PS)です。

PSスコア状態の説明具体例
0制限なく日常生活を送れる。健康な人と同じように仕事や運動が可能。
1軽い制限があるが、座ったり横にならずに軽作業ができる。少し疲れやすいが、買い物や料理などの日常生活は問題なくこなせる。
2自立しているが、活動量がかなり制限されており、日中の50%以上を座ったり横になって過ごす。家で過ごす時間が多く、外出は控えめ。食事やトイレは自分でできるが、それ以外は休む時間が多い。
3自立していない。日中の50%以上をベッドや椅子で過ごし、一部介助が必要。ベッドや椅子からほとんど動けず、食事や着替えなども手伝いが必要。
4完全に寝たきりで、自分では何もできない。介護なしでは生活できず、完全に寝たきりの状態。

このスケールを用いてPS2とかPS4と表現し、患者さんの体力や生活状況を簡潔に把握するために使われ、治療方針を決定する際の重要な指標となることもあります。

まとめ

バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。リビングルームにはコメント欄がありますので、何かリアクションしていただけたら励みになります。お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。

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