しあわせ増配中!おうちナースな7DAYS【オハナな管理人日誌weekly】2024.12.4〜12.10
Instagramで投稿中のオハナなおうちの『オハナな管理日誌』のweeklyバージョンです。ダイジェストというより、リライトや加筆をしていることが多いかもです笑。管理人のバイアスが100%かかっておりますが、在宅看護の枝葉としての読みものとして楽しんで頂けたら幸いです。
今年の漢字®は?
《オハナな管理人日誌 2024.12.4》
去年、チーム内で自分たちの今年の漢字を考えてみようと企画してみました。普段訪問看護って、それぞれの看護師と利用者さんとの関係性って閉鎖的になりやすいのです。秘守義務からもベラベラ話すこともできずに、オハナとしてのふわっとした横のつながりができたらなーというのと、ネガティブになりやすい介護や障害を抱えての毎日を振り返り、それぞれがポジティブなリフレーミング(ポジリフ)ができたらなという願いを込めて、内輪企画程度でしたが楽しい試みでした。そもそも今年の漢字とは、今年の漢字®︎なのですね。「今年の漢字®」は漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるために1995年から始まりました。毎年年末に、日本漢字能力検定協会が全国から公募し、最も応募数の多かった漢字を選び、12/12前後に清水寺の貫主が大きな和紙に選ばれた漢字を揮毫し、その年を象徴する文字を発表するのが恒例となっています。
過去の「今年の漢字®」
- 2023年: 「税」(増税議論や税制改正に関連)
- 2022年: 「戦」(ウクライナ侵攻などの国際情勢)
- 2021年: 「金」(オリンピックでの活躍)
- 2020年: 「密」(新型コロナウイルス感染拡大)
さあ、一緒にマイ今年の漢字®︎をひねり出してみませんか?
エンドライフへの旅
《オハナな管理人日誌 2024.12.5〜12.10》
今年も最期のかけがえのない時をご一緒させていただきました。それは時空を超えて、計り知れない学びをいただける時間です。
訪問看護師としてのスキルや在宅緩和ケアの知識は、エンドオブライフケアを携わるものとしての責務ですが、それだけでは旅立たれる方もご家族も私たちも救われないのです。これまでも、未熟とは知りつつも、なんとかしてエンドオブライフに寄り添おうとする自然な熱意に背中を押されてきた日々と言えます。そして大切な時間は心の引き出しに格納されますが、突如不意に引き出しが開き紐解かれることがあります。そんなエピソードの一つをお話しします。
前回の姉妹会で人類最古の弔いの話から、一冊本をお借りして読み進めると民俗学的視点が面白かったので紹介します。
引用参考書籍:お葬式 死と慰霊の日本史 新谷尚紀
まずは最新の説で人類最古の弔いは、7万8千万年前のホモサピエンスの子供の墓としてケニアの洞窟で発見されました。ヒトに近い類人猿、旭山のお猿さんたちをみると子供を抱き乳を与え育てる様子から、勝手に擬人的な妄想に囚われていたことに気づきます。猿人でも原人でもなく、ホモサピエンスが進化の過程で死を発見し、死に対する対処を始めたというのです。
ヒトの進化
チンパンジーのお母さんが子供の亡骸を抱き続けたという話を耳にしたことがありますか?2010年に野生チンパンジーが死児を大事に持ち続け、ミイラになるまで持っていたという長期継続研究から明らかになった3例の報告がありました。母親がそれぞれ19〜68日にわたって死んだ子どもの体を運びつづけたという。死の概念があるのかどうかは今後の研究の進歩によるでしょうが、今のところはお話を置いておこうと思います。
人類の進化は、猿人(700〜400万年前)→原人(200〜10万年前)→旧人ネアンデルタール(50万年前)→新人ホモサピエンス(20万年前〜現在)の4段階と言われています。 ホモ属としては、祖先の集団の一部がアフリカ→ヨーロッパに移住、そこからネアンデルタール人は進化した。一方アフリカに住み続けた集団からはヒトが進化した。
2種はヨーロッパとアフリカで別々に暮らし、4万7000年前にヒトがヨーロッパに進出してネアンデルタール人と再会する。その後ヒトがヨーロッパへ大量進出してからは3000年くらい両者は共存しました。互いの接触はなるべく避けたようですが、少数ではあるけど両者は交配も。にもかかわらず、ネアンデルタール人は寒さと飢えの犠牲者としてヒトに絶滅させられたのです…😢
ホモサピエンス
現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、これらの絶滅した種族との交流や過酷な地球環境への適応を通じて進化し、唯一生き残った人類の種となりました。さらに世界中に進出する過程で、環境に適応していき生き残る種として長けていたことは、学習能力と文化の力です。寒冷地であっても、火を焚き、毛皮を着たりするという、進化ではなく文化の力で切りひらいたと言えます。その過程の中で死という概念を発見し、死に対する対処をはじめ、死すなわち生への発見でもありました。
一見すると死は生理的なものに勘違いしますが、それはホモサピエンスによって発見された文化なのです。その証拠に文化だからこそ多様な葬法があるのです。例えばコンドルなどに鳥類に遺体を食わせるチベットの鳥葬、モンゴルの風葬は遺体をラクダか馬車に乗せて草原を走らせ自然に落ちたところで放置され、野生動物に食べてもらうという方式で、しかもその食べられる速さが故人の徳を示すという風習が存在しました。古来の日本でも似たような葬法は存在しています。きれいに食べられて大地に還るとか空に還るとか喜んだとされます。現代の私達においては、耐えられない残酷な方法だと感じることでしょうね。
科学的な死生観①
学習能力に長けたホモ・サピエンスは死の発見から、概念化・言語化することで、生を発見し、やがて老いて死んでいくシステムを理解します。ということは計画的にこの世を生きていかないといけないと考え、先人の知恵を次の世代の賢い子供達に受け継がれます。計画的な生き方、つまり科学的、合理的な計画性を持つホモ・サピエンスへ進化していくのです。そして死の恐怖が精神的な刺激となり、生きがい・やりがいを求める人生を目指すことになったことは、ホモ・サピエンスの史上の精神世界のビッグバンに値すると筆者は述べています。
そんな社会科の教科書の冒頭にある時期から、かなり時間をすすめ、さらに日本に絞って話をしましょう。ご想像の通りに日本のお葬式も文化の変遷によって変化してきました。
①「畏怖と祭祀(いふとさいし)」
②「忌避と抽出(きひとちゅうしゅつ)」
③「供養と記念」
そして現代の④「記憶と交流」
ちょっと聞き慣れない言葉も並んでますが、確かに記憶をさかのぼって見ても、昭和と令和だけでも葬式事情や慣習も変化を感じます。新谷先生の詳細な研究をきれいになぞることは困難ですが、アウトラインだけでも楽しんでみましょうか。
①「畏怖と祭祀(いふとさいし)」旧石器時代〜奈良時代
遺跡を調査するとその時代の文化が伺えます。縄文時代は集落の入り口にきれいに死体が並べられていますが、のちの平安時代になると洛中には墓は作りません。これは洛内は神聖なる天皇や貴族のまつりごとの中枢なので、死や墓はけがらわしいしいものとされていたからです。畏怖とは恐れることで、それは神話からも読み解かれます。死後の世界は黄泉の国とされ、神々を産みなした生命力豊かな女神のイザナミが恐ろしい死の神の黄泉大神となり、死の世界はおそるべき死穢(しえ)で充満していると記されています。また、もがり(殯)という葬儀儀礼があり、死者を本葬するまでの間、遺体を棺に納めて喪屋に仮安置することで、死者の霊魂を慰め、死者に悪霊が取りついて災いを及ぼすのを防ぐための儀礼でした。天武天皇のもがりは2年間も安置され、歌や舞が捧げられたり、食事を与えられたり、遺族が常に寄り添うように過ごしたりした様子が日本書紀に記されています。遺体の腐敗や白骨化などの物理的変化を確認することで、死者の最終的な「死」を確認することも目的だったと考えられています。遊部というもがり専門に奉仕する氏族の存在もありました。のちに大化の改新後に禁止されましたが喪屋の名残りは明治や大正まで離島などで風習が残っていました。
②「忌避と抽出(きひとちゅうしゅつ)」
平安京の造営以降は、洛中はきびしく死穢を忌避する場所となり、洛外に集合墓地の設営するようになりました。特に十世紀あたりを転換点として、貴族たちは火葬によって遺骨の一部を抽出して寺院やお堂に納骨する方式をとり、死穢を徹底的に忌避をするかたちをとりました。つまり死穢を発散する遺体は火葬して浄化し、遺骨だけを寺院やお寺の塔の中に納骨するという時代です。そしてこの十世紀には仏教の関与による火葬が広く普及し始めました。
③「供養と記念」
武士の台頭で貴族の世界の変化が見られるようになります。貴族はまつりごと(神祭りと政治)のために、清浄性を必須とする人達であり、いくら親愛なる家族たちの眠る場所であっても、忌避すべき死穢の充満する場所なので墓地はやはり洛外に設営されていました。一方武士達は命をかけて領地を守るために戦闘死した人物の遺体は決して粗末にせずに、埋葬した場所に菩提寺を建立し、死者を記憶してその功績に報いようとしました。つまり墓所に寺院を建立して、それが一族の祖先をまつる場所、菩提寺として大切に子孫に伝えられました。貴族も武士も死者の冥福を祈って菩提を弔い供養を行うことを大切にするようになります。
引用参考書籍:お葬式 死と慰霊の日本史 新谷尚紀
まとめ
バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。リビングルームにはコメント欄がありますので、何かリアクションしていただけたら励みになります。お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。