【そっとケアQ #11】ユマニチュード®流“安心が届く声かけ”──低めの声と距離が変えるケアの質

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ユマニチュード®（Humanitude）とは

介護や看護の現場で「ユマニチュード」という言葉を耳にしたことはありますか？

フランス生まれのケア技法ユマニチュード®（Humanitude）は、
「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語です。
考案したのは体育学者のイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏。

この技法は、認知症ケアを必要とする方だけでなく、
介護をする人・される人の両方が、
おたがいの人間らしさを大切にできる関係性を築くために生まれました。

【そっとケアQ・第11問】
Q. 認知症の方に安心が届く、ユマニチュード®の「話し方」はどれでしょう？

A. 明るく高い声で、はっきり強めに話す
B. 背後からそっと短く声をかける
C. 同じ高さで、少し低め・ゆっくり・短い言葉で話す

✅ 正解は… C！

🦉おうる先生のやさしい解説

“その中でも“話す”という行いは、
言葉の意味より先に、声の高さ・速さ・音の強さが
相手の心に届く、大事なコミュニケーションなのじゃ。

認知症の方は、言葉を理解する前に
“声の雰囲気”を受け取るからのう、
話し方ひとつで安心にも不安にも傾いてしまう。

今日からできる安心が届く話し方のコツ

● 少し低めの声

高い声は刺激が強く、
「怒られているのでは？」と感じてしまうこともあるのじゃ。
低めの声は、落ち着きと安定を伝える音色なんじゃよ。

● ゆっくり・短い言葉

長い説明は、音のかたまりに聞こえてしまう方もおってな。
「今から手を拭きますね」
「ここにいますよ」
といった短い言葉が、いちばん心地よいのじゃ。

● 正面から、同じ高さで

背後からの声かけは驚きを生み、拒否につながりやすい。
必ず正面から・同じ高さで声を届けると、
「この人は味方だ」と伝わりやすいのじゃよ。

静かすぎるケアは NG

「静か＝やさしさ」と思うかもしれんが、
無言でケアをすることは “あなたはここにいない” という否定のメッセージになるのじゃ。

返事がなくても構わん。
「温かいタオルを当てますね」
「椅子を整えていますよ」
――といった、いまのケアをそのまま言葉にする
“オートフィードバック（実況中継）”がとても役に立つのじゃよ。

🍊オハナのこたつから、ひとこと

こたつの中で話す声って、自然とやわらかくなりますよね。
相手の顔がよく見えて、声の温度がゆっくり伝わっていく。

ケアの場面でも同じで、
声の高さやスピードを少し変えるだけで、
安心の空気はふっと生まれます。

相手を大切に思って話すと、
声の高さも、距離も、自然と優しく変わり、
そしてその優しさは、ちゃんと相手の心に残る。

“声の温度”は、
目には見えんが、確かに安心をつくる力があるのです。

📖 参考・出典

『ユマニチュード入門』（イヴ・ジネスト／ロゼット・マレスコッティ著）
GINÉSTET Humanitude Japan株式会社 公式サイト
国立長寿医療研究センター「ユマニチュード実践事例」
厚生労働省「高齢者の尊厳を支えるケア技法」紹介資料
介護者教室資料「認知症高齢者が安心できる接し方〜ユマニチュードの実践〜」
認知症介護情報ネットワーク「優しさを伝えるマルチモーダル・コミュニケーション技法：ユマニチュード」総説

🌙 次回予告＊そっとケアQ｜第12回

次回のテーマは、
ユマニチュード®“触れ方”で変わる安心──手の温度と触れる順番のヒミツ
をお届けします。どうぞお楽しみに〜。

🌱みんなでつくる「そっとケアQ」

介護や在宅医療のなかで、
「これって、どうすればいいの？」と迷うことはありませんか？

誰かの“困った”や“気づき”が、
きっと別の誰かの支えになります。

オハナなおうちでは、みなさんからの在宅ケアや介護にまつわる疑問を募集しています。
日常の小さな「？」を、クイズ形式で一緒に学ぶ「そっとケアQ」に取り上げていきます。

💬 たとえば…

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• 認知症の方の言葉にどう返せばいい？
• 看取りの時、家族は何を意識すればいい？

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