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やさしくなれない自分を責めないで!「優しい人」の科学 和田秀樹

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「優しい人になりたいのに、なぜ人は優しくなれないのか?」、「優しい人になるには、どうしたらいいのか?」について、わかりやすい言葉で書き綴られています。精神科医の目線からの指南書といえます。

自分の周りにいいことが起こる行動習慣!つらい時、しんどい時に心の余裕を持つ方法

あなたは、自分のことを「優しい人」だと思いますか?
こう質問されて、「はい」と即答できる人は、それほど多くないはずです。ほとんどの人が、「人には優しくありたい」と思っていても、日ごろの言動を冷静に振り返ってみると、意外に優しくない自分に気づくのではないでしょうか。人に優しくする際には、さまざまな心理や感情が働いています。相手に対する「思いやり」や「好意」の気持ちだけでなく、「打算」や「自己防衛」といった損得勘定が働いていることもあります。相手に嫌われたくないと思って、表面的な言葉で取り繕う優しさもあれば、嫌われることを覚悟で進言する優しさもあります。価値観や考え方が多様化した現代社会では、何が本当の優しさなのか、ハッキリと明確にはわからないような状況になっています。人に優しくするというのは、意外と複雑で、思い通りにいかないものです。人に優しくすると、自分の気持も良くなることで、脳内にセロトニンやオキシトシン、ドーパミンなどの神経伝達物質が分泌されて、心身にいい影響が生まれることが科学的に明らかになっていますが、毎日の生活にもさまざまな好循環をもたらしてくれます。しかし、私たちの生活には、人に優しくなれない要素がたくさんあります。物価高、上がらない給料、度重なる増税などによって、世の中全体がギスギスとしていますから、どうしても自分のことだけを優先して考えるようになり、周囲の人を慮るような精神的なゆとりを見失いがちです。こんな時代だからこそ、「優しさとは何か?」を考えることで、その意味と意義を改めて見つめ直す必要があると感じています。

人に優しくできれば、人からも優しくしてもらえます。
優しい人に囲まれると、たくさんのいいことがあります。
たくさんのいいことがあると、人生がうまく回り始めます。
人生がうまく回り始めれば、もっと人に優しくすることができます。

この本をお読みいただいて、毎日を明るい気持ちで、機嫌よく、前向きに過ごすためのヒントを見つけてほしいと思います。(出版社より)


優しい人は、なぜ人生がうまくいくのか?

人に優しくすることは、一切の見返りを求めずに、ひとり勝手に自己満足することが大切です。機嫌よく過ごしているうちに、一緒にいて気持ちのいい仲間が自然と集まってきます。そして相手を人として尊重して敬意を払って関わるので、信頼関係を構築することができます。相手の幸せを喜べる人は、周りの人から慕われるため、親切にしてもらえることが多くなります。人間の心理には「返報性の法則」と呼ばれる原理があり、相手から優しくされたり親切にされるとその好意に対して「お返しをしたい」と感じ行動することですが、心地よい優しさサイクルが周りに広がっていくことになります。

「情けは人の為にならず」という考え方は単なる教訓ではなく、科学的にも正しい視点だといえます。

施せし情けは人の為ならず
己が心の慰めと知れ
我れ人にかけし恵は忘れども
人の恩をば長く忘れるな

情けをかけるのは、人のためにではない。
ただ自分が満足できれば、それだけでいいと知っておこう。
人にかけた情けは忘れても、
自分がかけられた情けは、ずっと忘れないようにしよう。

1915年『一日一言』新渡戸稲造

体調やメンタルが不調であると相手を思いやる余裕が持てないので、優しい気持ちにはなれません。「優しい人でありたい」と思うならば、体調を管理してメンタルを安定させることが最初の一歩です。人に優しくすると脳内ホルモンとが分泌されやすくなり、たくさんのいい影響が生まれることが医学的にわかっています。「人に優しくする」のと「脳内ホルモンが分泌される」のは、どちらが先かは不明確ですが、医学的にもさまざまなメリットが享受できます。

人に優しくなれる考え方

インターネット現代社会の弊害によって、相手に対する想像力の欠如となり、『他人事』として捉え、自分だけが正論だと勘違し誹謗中傷し、勝ち負け思考で判断していると、自分の中の歪みに気がつかずに自分を見失ってしまうことになります。

自分の実力を過大評価することになると、相手に冷たく接する傾向が強くなります。うまくいったときは「運が良かっただけ」と考えます。傲慢な態度で人と向き合わずに、自然と優しくなれるからです。

成熟した自己愛は、自分以外の人にも愛情を注げるようになります。心に余裕があるから、意味のないケンカを避けられます。自己愛を満たすことは難しいですが、自分を肯定的にみてくれ、きちんと認めてくれる人に囲まれて生活していくことになるでしょう。

上手に人に甘えてみましょう。甘えというのは基本的には、相手の「ニーズ」を満たしてくれることへの期待を意味しています。そのニーズを満たされると相手の優しさに感謝する気持ちが芽生え、お互いの人間関係が深まります。「優しさのキャッチボール」ができます。

「上辺だけ」の優しい人に騙されてはいけません。見せかけの優しさがもてはやされる時代だからこそ、「相手が本気でこちらのことを思っているか?」という判断軸を持つことが大切です。

男性が女性に求める優しさ、女性が男性に求める優しさ

生理的な作用や恋愛感情、優しさの捉え方の性差は、遺伝子の影響も大きいことでしょう。相手の立場に立って相手のニーズが想像できたり、相手の喜怒哀楽などの感情に寄り添ってシンクロできる能力「共感能力」を高める工夫が重要です。「相手の気持ちを想像する」→「相手に共感する」→「相手に対する思いやりが生まれる」という流れが人を優しくさせます。共感能力を高めるには、コツがあります。相手が同性であれば、躊躇なく優しくしたり、親切にできる人でも、見知らぬ異性に対しては、意外と身構えてしまうものです。これも現代社会は顕著な傾向にあります。

「人に優しく、自分にも優しい」マインドの持ち方

利己と利他とのバランスが大切です。①自分を大切にする(利己)→②ムダな我慢をしない→③自分を犠牲にしない→④人の気持ちを想像する余裕が生まれる→⑤人に優しくできる(利他)
無理な我慢はせずに、上手に「ガス抜き」する方法を見つけましょう。

自分の周りにいいことが起こる行動習慣

優しい人に共通する特徴は、日常の中にあるムリな我慢を手放して、自己効力感や自己肯定感を高めるための習慣を持っています。優しい人になるために「生活を変える」「考え方を変える」14の習慣は、実践することが難しいものは一つもなく、毎日の生活の中で、ほんの少し気をつけたり、意識を向けるだけのこと。当たり前のことが意外とできていないのです。

おわりに

自分に優しくなれば、人にも優しくなれます。自分の気持ちがよくなれば、相手の気持ちもよくなります。お互いの気持ちが良くなれば、好循環が生まれて、人生がうまくいきます。やはり原動力となるのが「優しさ」なのです。

まとめ

あなたはどうして優しい人になりたいのですか?
優しい人と思われたいからですか?


それなら優しくあればいいのですよね。優しくある為には、まず自分のマインドを整えましょう。自分の欲望に忠実に、ムリな我慢をせず、適度にワガママな生活をして自分の毎日を楽しむといいんです。そんな心のゆとりが相手を思いやる力を貸してくれます。相手を思いやり、心地よく過ごして欲しいと願いながら、自分ができることをしてみましょう。誠実に、真摯に、心を込めて。きっと素敵な化学反応が起こるでしょう。そしてご自分の心が喜んでることがわかりますか?それが人に優しくできたということですよ。そんな自分を愛おしく思えたら、あなたが望む優しい人になれた証拠です。
そんなあなたは運がよく、幸せな人生を歩んでますね、私はそう感じます。


バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。リビングルームにはコメント欄がありますので、何かリアクションしていただけたら励みになります。お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。

著者紹介:和田秀樹

1960年大阪府生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。一橋大学非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。著書に『感情的にならない本』『不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版』『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』など多数。(CROSSMEDIA MARKETING PUBLICATIONより)

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