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“長く”より“深く”生きるとは?──奈良親子レスパイトハウスに学ぶ「いのちの休息」と家族の絆【今日のひとことケア】

どれだけ深く生きたか、が大事なのです。

「ひとは、どれだけ長く生きたかではなく、どれだけ深く生きたか、が大事なのです。」── 富和清隆(東大寺福祉事業団理事長)

この言葉は、「奈良親子レスパイトハウス」を設立した
東大寺福祉事業団理事長・富和清隆(とみわ きよたか)氏。

重い病気や障がいをもつ子どもと家族を支える活動を通して、
「生きるとは、時間の長さではなく“深さ”なのだ」と語り続けてきた方です。

まずは、奈良親子レスパイトハウスについて紐解いていきましょう。

はじめに──「レスパイト」とは?

長い時間、誰かを支える日々の中では、
「少しだけ休みたい」と思っても、罪悪感を抱く方も少なくありません。
でも、レスパイトの本来の意味は、休むこと=投げ出すことではなく、“ともに生き続けるための充電”です。

「レスパイト(Respite)」とは、英語で“ひと休み”という意味の言葉です。
福祉や医療の現場では、介護や看護を続ける家族が心身を休めるための“ケアする人のケア”を指します。

この考え方を、やさしく、あたたかく形にしてきたのが、
奈良にある「親子レスパイトハウス」。
その活動を通して、「いのちを深く生きる」という言葉が生まれました。

「奈良親子レスパイトハウス」が生まれた背景

親子が一緒に休める場所

このハウスは2003年、奈良市で生まれました。
富和氏が医療ソーシャルワーカーとして働いていた頃、
たくさんの親御さんたちの声を聞いたことがきっかけでした。
「たまには休みたい。でも、誰に頼めばいいかわからない。」
「うちの子を見てもらえる場所がない。」
介護を続ける家族、特に母親の疲れは限界に達していました。
けれど、当時のレスパイト(介護者の休息支援)は
“親が一人で休む場所”が中心で、
「子どもを預けること」に罪悪感を抱く人も少なくありませんでした。
そこで富和氏は考えます。
親子が一緒に休める場所があってもいいのではないか。

親子レスパイトが生み出す「深さ」

奈良親子レスパイトハウスでは、
“預ける”でも“預かる”でもなく、
親子が一緒に、肩の力を抜いて過ごす時間を大切にしています。
そこでは、介護する・されるという関係からいったん離れ、
「本当にこの子の親でよかった」「この子を産んでよかった」と、
心の底から思えるようなひとときが流れています。
その時間は、家族にとって“休息”というよりも──
いのちをもう一度見つめ直すための「深呼吸」。
「ともに生きる喜び」を静かに取り戻す場です。

「善き友」と出会う場所

このハウスの柱は、「奈良を味わう」「寧楽(なら)に遊ぶ」、
そして「善き友に会う」の三つ。
ここでは、医療職だけでなく、地域の人々、僧侶、学生、料理人など
さまざまな立場の“善き友”が集います。
料理をつくり、語り合い、笑い合う。
重い病や障がいを超えて、人と人がまっすぐに向き合う。
その出会いこそが、「生きている今」を深く照らしてくれるのです。

東大寺の理念に息づく“いのちの平等”

富和氏は、東大寺の教え「動植物ことごとく栄えんことを(雑華厳飾)」を大切にしています。
それは、すべてのいのちが、この世を飾る存在であるという考え。
病や障がいの有無にかかわらず、
ひとつひとつのいのちが持つ輝きを感じられる社会を──
その祈りが、このハウスの根っこに流れています。

🏠オハナな縁側から、ひとこと

真のレスパイトとは、
体を休めるだけでなく、心と魂を休ませること。

看取り支援の日々も、振り返れば驚くほど短く感じます。
その中で交わされる思いや願いが、ひとつひとつ凝縮されて、
“深く生きる”という時間に変わっていく。

もし、その時間を「深い」と感じていただけるなら、
それはきっと、「おたがいさま」のあたたかさ、
そして“ともに生きる”時間の中に宿る「命の輝き」が
確かにそこにあるから。

今日も、誰かの暮らしにそっと風が通り、
静かに“深く生きる”瞬間が生まれますように。

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『今日のひとことケア』とは?

忙しさや不安、さみしさを感じる日常の中で、
ふと心に寄り添ってくれるような、
あたたかくて、やわらかい言葉があります。

『今日のひとことケア』は、
出会った温かい言葉たちを届けるシリーズです。

体のケアと同じくらい、心のケアも大切に。
小さなひとことが、あなたの一日をやさしく包み、
ふっと息をつける時間となりますように。

誰かに届けたい「やさしいひとこと」はありますか?

あなたが出会った「心がふっと軽くなった言葉」、
誰かに届けたい「やさしいひとこと」はありますか?

『今日のひとことケア』では、
皆さんの「心を癒す言葉」「大切にしている一言」を募集しています。

・自分を励ました言葉
・誰かにかけてもらってうれしかった一言
・暮らしの中でふと思い浮かんだフレーズ など

投稿はコメントやDMでお気軽に。
あなたの言葉が、誰かの今日を支える力になります。

まとめ

バーチャルシェアハウス オハナなおうちは、みんなの居場所です。今日も楽しい時間をありがとうございました。会えてうれしかったです。いつでも寄ってくださいね。

リビングルームにはコメント欄がありますので、あなたの大切にしたいやさしいひとことをぜひ教えて下さいね。

お気をつけてお帰り下さいね。また、お待ちしてます。

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